【活動体験記:陸前高田市「学びの部屋」第3期A班(2014年9月16日~9月18日)】

“子どもたちに、なぜ勉強するべきか話してほしい。夢をもたせてほしい。”

岩手県陸前高田市で40年教師をしてきた、現地での指導担当員にこういわれた時、私は自分がなさけなく、はずかしく、悲しくなった。初日の説明でこう言われる前までは、ただ勉強を手伝えばいいだろうとくらいに思っていた。しかし、現地の人たちが私たちに求めていたのはそんな表面的なスキルではなかったのだ。

なぜ勉強するかなんて、良い大学にいく意味なんて、私自身もわかっていないのに。どうしたら教えられるっていうんだろう。
夢をもたせるなんて、とんでもない。自分の夢を現実にあわせて進路をねじまげてきた自分が、子どもに語れることなんてないのに。

始めはなさけなくて、逃げたくなった。それでも3日間、チームの仲間と自分について語ったり、生徒に対して無理やりにでも今の自分を語ることで、なんとか活動をまっとうすることができた。活動をする中で、自信のない自分をさらけ出すのが恥ずかしくて、その場をやりすごそうとする態度から、わずかながらも自分の長所を探し出し、自信を取り戻すように、変化していった。

まとめて最後に言えることは、この活動はすごくつらいこと。子どもに何か誇らしく教えるものではなくて、今の自分の人としての力量を嫌でも感じさせられる旅だということ。「学びの部屋」とは中学生にとっての学びだけではけっして無い。陳腐な結論になるが、そこはまぎれもなく私たち大学生にとっての「学びの部屋」だった。

(総合文化研究科・修士2年)

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「自分は何ができるのだろう?」「子供たちは何をしてほしいのだろう?」今回のボランティア中で、常に考え続けたことです。学習支援ボランティアにも、被災地ボランティアにも初めての参加でした。私の行った3says programは中学校で3日間学習支援を行う、という内容で、生徒8人と東大生4人に、現地の指導員の先生1人でした。ボランティアの最後には、この指導員さんに、「今まで来たボランティアの学生の中で、一番よくやってくれた。」とおっしゃっていただきましたが、それは、この指導員さんのおかげだったと思っています。私達は一日目にこの指導員さんが3days programで何を目指したいのか、熱く語っていただきました。「ただ勉強を教えるのではなく、将来について考えさせてほしい」というのが指導員さんの思いであり、この思いにどう応えるか、それが私達の課題でした。結局私たちは、勉強を教える以外に、1時間半程度の時間をとり、パネルディスカッションの形式で、自分たちの大学受験や、大学生活での体験談を話したり、将来の夢や、勉強法といった生徒の質問に答えたりしました。生徒は私達の想像以上に、将来のことや勉強のことについて考えていましたし、多くの生徒が「震災復興で自分のできることはなにか」を考えているようで、子供たちの強さを感じました。3日目のプログラム終了時には、中学生に向けてメッセージを渡しました。短い期間の中で私達が何を残せたかはわかりませんが、生徒たちの元気な姿や真面目に勉強に取り組む姿勢、好奇心をこちらにぶつけてくる様子に、こちらが大きく刺激を受けましたし、何より生徒の素朴な笑顔は忘れられません。しかし、今回のボランティアでは、このプログラムの大きな課題も浮き彫りになったと思います。ボランティアとは、求められていることを行うものだと私は考えています。当初は「人手不足の解消」と、生徒の話し相手という「心のケア」のために、このボランティアは行われていたと思います。そして、来てくれるだけで助かる、という状態であったのだろうと推測できます。しかし、3年たった今では、当初の目的は薄れているように思われ、このボランティアを何のためにやっているのかという根本の部分が、しっかり定まっていないように感じました。本当に私たちは必要なのか?と感じる場面も多々ありました。子供たちは仮設住宅という環境では勉強しにくいなどの理由で、宿題を終わらせに来ています。もしくは、友達に会いに来ています。そこに私達は必要でしょうか?いないよりは、いた方がいい、という理由ではないでしょうか。真に求められていることをやりたい、というのはぜいたくなのかもしれません。しかし、なぜこのボランティアをやるのか、被災地で何が求められているのか、という問題は、しっかりと議論し続けて
いくべきだと強く感じました。

(文科 I 類・2年)

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